ウェブコンサルタントになるには

インタビュー vol.6

アクセス解析はほんの一部。
広い視野と情報が、本質的な課題の解決を導く

運営堂 代表 森野誠之氏
運営堂 http://www.uneidou.com/ グラン堂 http://www.grandou.biz/ 株式会社グランフェアズ http://www.granfairs.com/

森野氏

今回の運営堂森野さんのインタビューは、運営堂さんとオフィスをシェアしている制作会社 グランフェアズの大和さん、藤田さんにもご参加いただきました。アクセス解析とサイト制作の両面からお話を伺います。(レポート:坂下 千可子)

森野氏
(左)運営堂・森野氏、(中央)グランフェアズ・大和氏、(右)グランフェアズ・藤田氏

森野氏

森野氏

森野氏

森野氏

アクセス解析に定型はない

坂下千可子(以下、坂下)アクセス解析というと毎月のサイト分析のレポーティングがメインのお仕事、というイメージがあります。定型作業が多いのでしょうか?

森野誠之(以下、森野)解析をどの範囲でやるか、何を提出するかはお客様ごとに、異なります。そのため、いきなり解析をスタートすることもありません。お客様と会いヒアリングをくり返し、その企業や業界に必要なレポートの形式にフィットさせています。

また、最初から深堀はしません。深い分析ほど、改善後のサイトの反応を見るのに時間がかかるためです。アクセス解析は天気予報と同じ。昨日の天気を知っても意味がないように、アクセス解析も、明日の売り上げにつながる施策が分からなければ意味がありません。

アクセス解析というのは提案書のようなものです。担当者だけでなく経営層の人も一緒に話をしないと意味がありません。アクセス解析は専門用語が多く難しいですし、仕様も変わります。良く理解をしないと正しい設定もできません。ですから、事前に十分なヒアリングや説明が無いと、アクセス解析をして数値を提出しても、理解してもらえません。
その結果、担当者が見るだけで終わってしまうケースもたくさんあります。逆に、解析したデータがお客様にとって役に立って、それが評価され、また「解析してほしい」とデータを求められるときにやりがいを感じます。

坂下準備の重要性が良くわかりました。労力の配分で言うと、どのくらいの比率になりますか?

森野労力の配分でいうと、解析を行う前段階が40%。この部分で業界や会社、サイトの中身などをヒアリングし、解析の目的や項目決めをします。実際解析をしてデータシートの作成をするのは20%です。残りの40%は確認作業です。
関係者にレポートの内容を確認しないと独りよがりのレポートになってしまいますし、机上の空論になってしまいます。実現性のないレポートはどれだけ内容が良くても意味がありませんので、ここには時間をかけています。

しかしアクセス解析以前に、SEOを考えながらブログを投稿するなど、できることはたくさんあります。アクセス解析のご相談をいただいた場合でも、場合によってはSEOやサイト改善のアドバイス、実施をお手伝いすることもあります。
それによって成果が出れば、そうなると過去との変化を計測、検証しないといけなくなりますよね。そこで改めてアクセス解析の必要性が出てきます。

そのため、アクセス解析の依頼を受けても、そのまま受注するのではなく、極力お客様にお会いしてお話をすることで、広く情報収集できるように心がけています。より広い視野での意見交換や、雑談から、アクセス解析以外の情報もヒアリングでき、本質的な課題解決に近づけます。

 

お客様と目線を合わせて話せる立ち位置に行くべき

(株式会社グランフェアズ 代表取締役 大和氏もインタビューに参加)

坂下グランフェアズさんは現在運営堂さんとオフィスをシェアして、専門領域を補完し合おうとしているそうですね。

大和アクセス解析で出た結果に基づいて表層に反映していく、というように、解析と制作をセットで考える必要があります。
私たちは、なんとなく「見た目がきれい」「はやりのデザイン」「バナーの色を変える」という制作をするのではなく、デザインや機能にもきちんと理由を持たせて形にしています。
その裏付けにはアクセス解析という一定基準で計測した数値も必要だと感じます。
どちらかの一方では、お客様は理解しづらいのではないでしょうか。デザインを反映しまた解析をして結果を数値で出す。高いレベルで互いの専門分野を生かしながら改善をしています。

そこで、制作を担当する株式会社グランフェアズと運営堂がタッグを組んで「グラン堂」を立ち上げました。解析と制作がお互いの疑問点をぶつけて答え合う、というコンテンツを公開しています。 アクセス解析によって出た改善点を制作に反映させ、また解析を行うことで表層の改善が早くなります。結果としてより的確な提案を迅速にできます。
事務所も同じフロアにあるので、近くで話しやすく疑問がすぐに解決できるのがいいですね。

坂下今回運営堂 森野さんにご登壇いただく、「ウェブコンサルタントになるには」について、どう思われますか?

大和とても良い企画だと思います。お客様のところでコンサルタントと名乗るだけで、どうしても「売り込まれる」「あやしい」というイメージがあります。現状では、コンサルタントというと、自分たちは対等でなくお伺いの立場。お客様と目線を合わせて話せる立ち位置までいかないと踏み込んだ話ができないと思っています。
ウェブコンサルタントという存在をみんなが知るようになれば、お客様ともっと深く話ができると思います。

 

全力で取り組む、そして学ぶ

坂下登壇者さんは皆さん大変働き者で、平均週75時間くらい働かれているようです。
中でも、森野さんは、登壇者アンケートに「お休みがない」と書かれているのが印象的です。

森野完全なオフはありません。いつも仕事のことを考えていますし、考えない日はありません。
私はメルマガを朝7時に配信していますが、それも手動配信ですから毎日が仕事です。メルマガはRSSでチェックしすき間時間で読んでいて、1日でも休んでしまうと溜まってやる気がなくなるので、自然と休みがなくなってしまっています(笑)。

ウェブはどの分野でもとがった部分がないと注目されないし、考え方もぶれやすくなります。ただ、アクセス解析の場合はとがっていると自分の畑を荒らしているような感じもするし、市場が委縮してしまうような気がします。

「ウェブ業界に入りたい」という人がいたら、まずは社会に出て実務経験を積むことをおすすめしています。実務を何も知らないでできる仕事はありません。また「アクセス解析をやりたい」という人は、勉強せずに取り組むのはとても難しいので、本を読んだり著名なブログを読んだりして、まずは学ぶことが大切だと思います。
アクセス解析はいずれなくなり、ツールが進化して解析ができるようになると思っています。分析作業は必要なくなるかもしれません。もし今アクセス解析がなくなったら、もっと広くマーケティングを勉強したいですね。

 

「ウェブコンサルタントになるには」
イベントページへ戻る


ページ
TOP