デザインと経営
本日日経MJのTOPで、佐藤可士和さんと佐藤オオキさんという二人のデザイナーの対談記事がありました。
デザインはブランドの表現であり、海外では経営者の近くにデザイナーがいる、という話でした。
デザインという言葉はどうしても表層デザイン、見た目のことだと思われがちですが、ウェブサイト5階層概念モデルのように、じつは戦略や要件の上にデザインは成り立つものです。
ブランドには何を捨て、何を主張するか、という高度な経営判断が必要になります。
そして、それを理解していないと、本質的なデザインは出来ません。
だからこそ、戦略を立案する仕事と、デザインという仕事はとても近いものなのです。
戦略社会
これまでほとんどの企業は狭い商圏の中で、競合も少ない中で事業を営んできました。
しかし、インターネットの登場によって、すべての産業、すべての事業者が極端な競争環境に巻き込まれ、競争の中で選ばれる理由を必要とされています。
そのため、かつては戦略が不要であった小企業さえも、戦略が必要になったのです。
多くの小企業がそれに気付くのは、ウェブサイトを制作するときです。
何を伝えるか、と考えたときに、何を伝えれば商品を買ってもらえるのか、サービスを利用してもらえるのか、競争環境における選ばれる理由を探します。
しかし、それが無いことに気づき、戦略をもとめます。
そのときのパートナーがウェブプロフェッショナル、つまりはウェブサイトを制作したり、ウェブマーケティングをお手伝いする立場の方です。
だからこそ、ウェブプロフェッショナルに経営、戦略を学んでいただきたいのです。
私は、そのような課題を受け止め、お客様の支援ができるウェブのプロを、ウェブコンサルタントと呼んでいます。
ウェブプロフェッショナルはウェブコンサルタントに
最近はSEOも出来ることが限られ、SEOを専門とする事業者は減ってきています。
リスティング広告も、自動化が進み、技術で差をつけることが難しくなってきています。
またオムニチャネル化によって、ますますリスティング広告だけで成果を残すことは難しくなっています。
サイト制作も、ツールの進化によって自動化が進んでいますし、またデバイスの多様化によってレスポンシブデザインが主流になり、表層デザインはシンプルになってゆきます。
こんなことを言うと、ウェブプロフェッショナルは仕事が無くなるのか?と思う方もおられるでしょうが、私の考えは逆です。
ウェブプロフェッショナルへのニーズはますます高まります。ただし、ウェブコンサルタントとして、です。
佐藤可士和さんのように、経営を理解するデザイナーが必要なのです。
ウェブコンサルタントを増やす
インターネットインフラが普及し、サイト制作が一巡し、サイト活用の時代が始まりつつあります。つまり、どう活用するか、何を作るかを定義する仕事が増えてきます。
PCの普及によって、ソフトウェア業界が発展し、ソフトウェア(システム)の活用のために、ITコンサルティング業界が発展したのと同じです。
しかし、そのニーズの爆発的な増加に対して、ウェブコンサルタントが圧倒的に足りていません。
育成する必要があります。
そのために、一年前からismという教育の仕組みを立ち上げました。
しかし、これだけで十分だとは思っていません。
「ウェブコンサルティング協会をつくらないか」とか、「ウェブコンサルタント認定資格を作ろう」いうご相談をこれまでに何度かいただきました。
しかし、私はコンサルタントという仕事の性質上、正解を定義することは難しく、コンサルタントが集まって行動することは難しいと思い、お断りをしてきました。
その一方で、ネット業界のSEO詐欺や、コンサルティング詐欺をどうにかしたい、と思う気持ちがありました。
そのためには、信頼を束ねて、多くの人が信頼できるプロフェッショナルの情報を共有し、発信していく必要があると思いました。
ウェブコンサルティング協会とは言わないまでも、何らかの情報共有、情報発信の枠組みが必要ではないかと思うようになりました。
ウェブコンサルタントになるには?
そこで、2月に東京と大阪で「ウェブコンサルタントになるには?」というイベントを開催することにしました。
趣旨としては、私自身が尊敬できるウェブコンサルタントを、ウェブコンサルタントを目指す方たちのロールモデルとしてご紹介することです。
今の仕事の内容や、今の仕事をするようになった経緯などをうかがい、ウェブコンサルタントを目指す方の参考にしていただきたいと思います。
登壇者の皆様には、求人などにつなげていただくことも可としておりますので、転職希望者にとっても価値あるイベントだと思います。
ウェブプロフェッショナル以外の方に、信用できるプロフェッショナルをご紹介する、という意味もあります。
間もなく登壇者の発表など少しずつ進めていきますが、多くの方が数年後に必ず突き当たる壁、それを乗り越えるための一つのヒントになると思っています。
これから一層ウェブコンサルタント育成に力を入れるつもりです。