本日の日経MJ 6面、2013回顧と展望「オムニチャネル加速へ」という記事がありました。
本当に、毎日毎日オムニチャネル、というキーワードが新聞やメディアに登場し、2014年の日本経済ではオムニチャネルが重要なキーワードになるでしょう。
ネットショップにとってのオムニチャネル
しかしながら、私の周囲のネットショップさんはまだまだオムニチャネルへの関心が薄いようです。
ここ数か月は、まだ言葉自体を知らない方も多いのだと思っていましたが、さすがに最近はこれだけ話題になっていますから、知らない方も少なくなってきたと思います。
それなのに、いまだにネットショップさんの間で、オムニチャネルへの話題が少ないのはなぜでしょうか。
そう思っていたところに、ある方からアドバイスをいただいて、腑に落ちました。
「ネットショップさんはオムニチャネル=実店舗とネットの統合 だと思っている。だから、実店舗を持たないネットショップ専業者は興味が無い。」
なるほど、実店舗が無ければ関係の無い話題、そういう解釈はありそうです。
しかしながら、実際は全てのネットショップさんにとって、大変影響の大きな話です。
なぜなら、見方を変えれば、
オムニチャネル=すべての実店舗がネットに進出
という意味だからです。
全ての実店舗がネットでも購入できる機能を持つ時代に
オムニチャネル、という言葉自体は「すべての経路の統合」というような意味です。
消費者から見れば、
「実店舗とネットなど、売り手と買い手のあらゆる接点の統合によってさらに便利になる」
ことでしょう。
しかし、売り手からすると、もっと大きな変革です。
「消費者が実店舗に居ても、家に居ても、電車の中に居ても、(ネットを通じて)常に実店舗、ネットショップ、カタログ通販などのすべての競合と比較される」
という意味です。
つまり、売り手が顧客のために店舗とネットを統合したいかどうか、という話では無く、いやおうなしに消費者がネットショップを実店舗とも比較するようになる、ということです。
いうなれば、オムニチャネル対策は、攻めでは無く守りです。
消費者のオムニチャネル化により、ネットショップもオムニチャネル対策を迫られる
ということです。
オムニチャネル対策とは、消費行動が変化し、競争のルールが大きく変わる中で、それでも買ってもらえるような対策です。
家電販売最大手のヤマダ電機はネットに対抗する値下げを行ったことにより、2013年上期の半期決算が赤字になりました。
これまで最も得意としていた、価格競争のルールが崩壊し、他の方法で競争に勝つ必要が出てきたのです。
実店舗を持っているなら、実店舗で商品を見ながら、ネットで購入できるようにすることは対策の一つだと思います。
一般的なオムニチャネル対策で、実店舗を持つ多くの企業がまずはこれに取り組んでいます。
すぐに陳腐化し、他の対策が必要になるでしょう。
しかしながら、実店舗を持たないネットショップ専業者にはこれさえも出来ません。
消費者がネットとリアルを垣根無くまたぎながら消費をしていくようになる中で、ネットショップ専業者は選ばれる可能性が少なくなる、ということです。
さらに、少数派になりながらも、ネットに限定して商品を探す方がいるでしょうが、そんなシーンにおいても、実店舗を持つすべての事業者がネット通販を始めるため、競合がますます増えている、ということです。
以上のように、ネットショップにとって、2つの理由で、大きく売り上げが減少することが見込まれます。
ネットショップのオムニチャネル対策
それでは、ネットショップには、どのような対策が考えられるでしょうか。
大きく3つの方法があると思います。
- メーカー化
他では買えない商品を作る - サービス業化
商品は仕入れだが、何らかのサービスを付け加え、むしろサービス業をメインの価値とする
(ECサイト4モデル式 エンジェル宅配さまの事例参照 http://www.amazon.co.jp/dp/4048869515) - スーパーネットショップ化
ネットショップとしての機能を他社よりも圧倒的に磨く
サイトの使いやすさ、品揃えや納期、接客など
いずれにしても、簡単では無く、革新的な取り組みが必要になります。
また、その上でも、アクセス獲得は今後はとても難しくなります。
そのため、顧客との全ての接点を貴重な機会として、意識して取り組む必要が出てきます。
オムニチャネル時代のアクセス対策
検索エンジンアクセス対策を中心としていたネットショップですが、これからは検索エンジンの検索数は減少します。
また、検索結果のパーソナライズ、画像検索や地図検索など、検索結果の分散によって、検索順位で1位になっても誘導できる数が減って行きます。
さらにリスティング広告はますます高騰しますから、今後はリスティング広告を出稿することが出来なくなるでしょう。
そんな状況で、サイトに来てくれるお客様をますます大切にしなければなりません。
大切にするとは、お客様に正しくメッセージを伝え、購入していただく、ということです。
自社の強みや、信頼感を伝える情報を分かりやすく伝えることです。
さらに、商品を購入してくださった方を大切にしなければなりません。
購入時のサンキューメールや、商品送付時の同梱物で何を伝えるか。
お客様と最も深く、確実に接触できる最大の機会ですから、こちらもよくよく考えてメッセージを届ける必要があります。
開封体験最適化、とでも言いましょうか。
また、それぞれの接触シーンでのメッセージの統一感も大切です。
たとえば、商品を大切に思う企業が、安易にセールチラシを送ると、顧客には矛盾したメッセージと受け取られるでしょう。
サイトへの新規訪問は減り続けます。
購入してくださった方とは、商品購入時のサイト上での接触以外に、サンキューメール、そして商品到着時の3回の接触が可能です。
しかし、たった3回の接触です。たった3回の接触で、再度このショップで購入したい、と思ってもらえる工夫が必要なのです。
そのため、顧客接触シーンを総合的に洗い出し、適切なコミュニケーションを設計する、というプロセスが重要になります。
これは、従来の言葉で言えば、ブランディングと呼ばれるものです。
ネットショップでもブランディングが必要になったということです。
ブランディングは高級なショップだと認識してもらう、という意味ではありません。
お客様に何を約束しているのか、というメッセージを伝えることです。
2014年 ネットショップ最大のテーマはオムニチャネル
いずれにしても、2014年、ネットショップにとって、オムニチャネルは最大のテーマになるでしょう。
まだ良く理解していない、という方は、まずは新春セミナーにお越しください。