http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150707-00000560-san-bus_all
ヨドバシ・ドット・コムの売り上げが1000億円を超えそうだ、というニュースがありました。
その理由は、品揃えを増やしたこと、配送期間を短くしたこと、そのための物流の整備、などです。
私から見れば、どれも手法のレベルです。他社もやっており、amazonはそれ以上にやっており、差別化にはつながりません。ネットショップ経験者ならご存知の通り、品揃えを増やしたら売り上げが伸びるのは当たり前です。しかし、生鮮食料品に強味のない会社が専門業者と競って生鮮品を売っても利益が出にくいでしょう。
また、売り上げが伸びても、事業として健全な利益を生み出しているのかはわかりません。さらに、利益が出ても、競争が激化したときに利益を出し続けるのは難しいです。
もしかしたら、他に狙いがあるのかもしれませんが、この記事からはうかがえません。戦略を持たずにこれをやっているのであれば、大切な時間と人材資源を無駄にしているように見えます。
2001年のマイケル・ポーターの論文に次のような記述がありました。「インターネットの登場によって、競争のルールが変わるため、従来の戦略的な思考は役に立たないと考える企業が増えている。その結果、自らの競争優位を失うような行動をとり、業界の魅力を低下させている。本当は、インターネットの登場によって、戦略はより重要なものになっているのに。」(要約)
どんな大企業でも、環境変化に対して、力づくで立ち向かうことは出来ません。変化の波はもっと強く、大きいのです。
単なる量的な拡大ではなく、より本質的に変化にチャレンジする必要があります。
特に、会計年度に合わせて、単年の売り上げや利益に判断を左右されるようでは大きな変革はできません。
売り上げ利益はあくまでKPIであり、実体では無いのです。
そのつもりで売り上げ、利益を管理しないと、金の卵を取り出すためにそれを生むガチョウを殺すことになってしまいます。
決算に左右されることなく、より長期の視点で価値を積み上げる覚悟が必要でしょう。