ウェブコンサルタント001 ウェブコンサルタントになるには 大阪会場も無事終了しました。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。
大阪会場は会場参加者100名とスタッフ20名で満席となりました。
動画参加の30名を入れると、約150名での開催です。
ウェブコンサルタントをテーマにしたイベントで、ここまでたくさんの方にご参加いただけたのは、
いま現場でウェブコンサルタントのニーズが拡大していることの表れではないでしょうか。
また、登壇者の人気も大きな要因の一つです。
東京会場と比較して、中小企業向けの支援をメインとしておられる皆さんに集まっていただきました。
・SEOのレジェンド 住太陽さん
・リスティング王子 阿部圭司さん
・ネット活用のかかりつけ医 北村錬充さん
・荒武者ウェブコンサルタント 森野誠之さん
東京と同じく、4社4様の個性、雰囲気、主張を持ってお話しいただきました。
今回は東京以上にそれぞれの考え方の違いが浮き彫りになりましたが、
やはり東京と同じく、共通点も多く見いだせた楽しいイベントでした。
住さんが、FACEBOOKで「自分が登壇した中で、登壇者としてもっとも楽しいイベントだった」とおっしゃっていたことに全く同感です。
登壇者自身が他の方のお話を楽しむことができ、またパネルディスカッションでの議論もとても有意義なものでした。
そして、参加者アンケートから、参加者の皆様が、興味をもって参加し、このイベントの意味をとても深く理解してくださっていたことが良くわかりました。
参加者の皆様のお気持ち、参加に向けての心構えが、当日のとてもよい雰囲気を作っていたと思います。
改めて参加者の皆様、動画参加の皆様、登壇者の皆様、ボランティア参加の皆様、READY FORで協賛いただいた皆様にお礼を申し上げます。
■「ウェブプロフェッショナルはゼネラリストであれ」
株式会社ゴンウェブコンサルティング 権成俊
http://www.gonweb.co.jp/
お伝えしたい内容は前回と同じですが、今回は中小企業向けの登壇者が多いため、
具体的なテクニックを求めている方も多いと思い、当社のメインとする事業領域、マーケティング手法、コンサル手法の変遷を中心にお話しました。
手法は高度化していますし、総合化していますが、ほとんどの場合、根本的な問題はテクニックの優劣では無く、
事業モデルが確立できているかどうか、つまり「選ばれる理由があるか」ということです。
「選ばれる理由」づくりをリードする人材が必要で、それがウェブコンサルタントである、というお話でした。
■「制作屋の僕がコンサルになった理由」
SEO検索エンジン最適化 運営 住太陽氏(すみ もとはる)
http://www.searchengineoptimization.jp/
もともとデザイン、制作をメインにお仕事をされ、今となってはSEOで知らない人はいない住さんですが、
作業よりもアドバイスを求められることが増え、またその価値の方が大きくなってきました。
だから作業費用から相談費用課金に切り替えた、というお話でした。
コンサルタントは極力手を貸すのではなく、アドバイスをすることに徹底し、
企業側が自分自身で考え、行動できるようにしていくべきだ、という持論を展開されました。
そうでなければ、コンサルタントが手を放した瞬間に倒れてしまう、それは不幸なこと。
同じようなことは北村さんもおっしゃっていました。
ご自身のコンサルティングのスタイル、考え方を認めてくれるお客様に出会うこと。
そのためには、自身がウェブのプロとして、自社のウェブサイトで成果を出すことが大切。
東京でもオウンドメディアの重要性の話がありましたが、メディアとしても、実力を証明する方法としても重要です。
また、ウェブコサルタント以外に、ウェブマスターというポジションも大変重要であると考えているとのこと。
住さんご自身は会社勤めが向いていないため、ウェブマスターという道は選ばれませんでしたが、
ウェブプロフェッショナルのキャリアとして、ウェブマスターを推奨されています。
住さんはすでにこちらに講演の概要記事を公開していただいています。
http://www.searchengineoptimization.jp/reasons-to-become-a-consultant
くだけた話し方がとても良かった、というご意見も多かったです。
■「ウェブコンサルタントにはなるな」 阿部圭司氏(あべ けいじ)
アナグラム株式会社
http://anagrams.jp/
ネタバレするので、イベント開催までタイトル非公開だった阿部さん。
始まってみると、いきなりウェブコンサルタントにはなるな、というメッセージが・・。
主催者は戸惑いましたが、結論としては、「ただのウェブコンサルタントにならず、強みをもって突き抜けろ」というようなお話でした。
ウェブコンサルタント、という言葉のイメージはとても怪しい、ということもおっしゃってました。
住さんもおっしゃってましたね。
私がウェブコンサルタントを名乗り始めた12年前はウェブコンサルタントって何?と言われていたので、それに比べると業界認知が進んだということでしょうか(笑)。
阿部さんはもともと大手アパレル企業勤務で、ウェブで独立してからまだ4年程度とのこと。
まずはリスティング広告で突き抜けましたが、お客様の業界調査やビジネスモデルの理解は徹底的にやっているそうです。
そこまでやらなければ、リスティング広告で成果は出ない時代です。
コンサルタントに必要なこと、独立するのに大切なことを挙げてくださいました。
コンサルタントの役割
1.数字を上げる
2.攻めるだけでなく守る
3.クライアントの思考を減らす
阿部さんが考える、コンサルタントの価値が見える内容でした。
独立するのに大切なこと
1.仕事
2.メンタル
3.お金
4.謙虚さ
やはり独立は向き不向きがあり、メンタルの適性があるかどうか。
お金を稼ぐことはメンタルを支えることにもつながる。
そして、おごってはいけない。おごると消える。
要点がまとまっていて、分かりやすいお話でした。
それにしても、「ウェブコンサルタントになるな」にはひやひやしましたが、この後も私の心労は続きます・・。
■「LATERAL(ラテラル)なコンサルタント」 北村錬充氏(きたむら れんみつ)
株式会社LATERAL
http://www.lateral.jp/
北村さんはもともとご自身がネットショップを運営されていました。
その後ウェブコンサルタントとして独立しましたが、3年ほど前から再度ネットショップの運営を再開されました。
現場の変化が早く、3年離れると知識も古くなるからだそうです。
北村さんは、ウェブコンサルタントになるには、名刺に肩書を入れるだけで良い、と言います。
重要なのは総合的に受け止める気持ちで、ノウハウはあとからついてくる。
「ウェブコンサルタントになるな」に次いで、衝撃的なメッセージでハラハラしました。
中小企業に向けてウェブコンサルティングをしておられますが、
東京のウェブコンサルタントとは異なり、専門分野のスペシャリティよりも、総合力、そしてモチベーションを高める力が必要とされるそうです。
ケーキの差し入れは欠かせないとか。
そんなスタイルを、ご自身で「かかりつけ医」型のウェブコンサルティング、と称しています。
専門的な技術が必要なところは、専門医をご紹介すればよい、と。
このあたりは森野さんにも共通するところで、専門型ウェブコンサルタントは東京以外ではビジネスになりにくいと感じました。
ウェブアナリストや、コンサル型リスティング広告代理店も東京のみで成立する仕事と言えるでしょう。
「かかりつけ医」としてのお仕事分かりやすく説明してくれました。
お客様の理解の段階として、5つの段階があります。
・分からないこともわからない
・意識しているけど出来ない
・意識すれば出来る
・意識しなくても出来る
・教えることができる
このうち、3段階目くらいまでが北村さんのお客様です。
理解の程度を把握した上で、課題解決が出来ない理由も5段階に分かります。
・現実的に無理(資金不足など)
・やり方を知らない(知識不足)
・上手に出来ない(技術不足)
・分かっちゃいるけど出来ない(感情)
・やりたくない
理由を把握して、解決に当たります。
最後に、北村さんご自身は、ラテラルなコンサルタントを目指す、とおっしゃっていました。
社名でもあるラテラル、というのは、水平な、という意味で、上からでも無く、下からでもない、お客様とのパートナーとしての立ち位置を大切にされているそうです。
だからこそ、届くメッセージもあるのだと思いました。
■「前へ」森野誠之氏(もりの せいじ)
運営堂
http://www.uneidou.com/
森野さんはいろいろな職種を経験され、現在はウェブ解析を中心としたウェブコンサルタントとして名古屋を中心に活躍されています。
経験を積み、強みを見つけて磨いた、というようなイメージを持たれますが、
実際は雇われるのが苦手で転職を繰り返し、解析を専門にされたのも、分析好きというよりも、運用の仕事がしたい、という思いからだそうです。
解析の仕事は、数字で結果が出ることで、説得力がありますが、良く言うところのPDCAを回してお客様もアナリストもハッピー、という流れはほぼ無い。
実際は、予算0で、いかに安くやるか、というシーンが多いとのこと。
東京の市場と地方の市場は違い、高度な設計、分析はニーズが無いどころか、予算の浪費につながり、双方不幸になる。
東京の悪いコンサルタントのイメージで私の写真を使ってご説明いただきました(笑)。
分かりやすかったです。
解析をするな、設計をするな、でも成果を出せ、そのためには?
・解析はしない
・設計もしない
・一人でやる
レポートは出さない。必要なデータを見て、アクションだけ指示を出す。
見積もりはせず、おおざっぱに予算を決めて、とにかく行動する。
人を雇わない。スペシャリストはなかなかいない。
明確で、具体的に真似しやすいアドバイスです。
東京のコンサルタントが悪者に思えてきました(笑)。
最後に、長期の視点からのメッセージをいただきました。
「今と自分の都合で動かない。未来とお客様のために動くこと。」
それによって、自然と結果はついてくる、とのこと。
北村さんに続いて、地方のコンサルタントとして、実績を上げている実力派のなかなか聞けないお話を伺いました。
■パネルディスカッション
・労働効率
東京会場と同じ表をもとに、皆さんのご意見をうかがいました。
論点は、個人か、組織か、コンサル寄りか、オペレーション寄りか、総合か、集中か、など。
やはり人を抱えるとマネジメントの時間が取られがちだ、ということが分かります。
効率の良くやるなら一人でやるのが一つの究極系で、人を抱えるなら領域を絞るか、マネジメントをしなくてもやれるコンサルタント集団にするか、何らかの工夫が必要と思われます。
・どんなご相談が多いか?
北村さんはさまざまなご相談があるとのこと。
それぞれの企業規模や悩みの段階に応じて、モチベーションアップから支援。
住さんの場合は、お客様はご相談を受けるまでにサイトを閲覧して、住さんという人間を選んでくれている。
ご相談をいただいた時点ですでにリテラシーが高く、SEOにまつわる課題を抱えている方に絞られている。
しかし、アドバイスの内容はSEOにとどまらない。SEOはフックになっているだけ。
・集客
前の質問から派生してそのまま集客の話題へ。
権の場合はいまは本、セミナーからが多い。
森野さんはブログ、メルマガ。
解析をやっているフリーの人を探すと選択肢はほとんど無い。
北村さんは受けられる限界もあるので、特に何もしていないが、満足してくださったお客様からのご紹介で足りている。
権から、本を書くのは良いのではないか。
阿部さんは本は単価アップにつながり、自身としては良かったが、やりたい人がやればよい。
親は喜ぶ(笑)
住さんから、10年前は本が良かったが、今はウェブの方が良いのではないか。
執筆専門家というよりはウェブ専門家なので、ウェブで表現する方が良いのではないか。
SEOの営業を電話でやるようなもの(笑)
権より、ウェブ専門家向けならウェブが良いが、やはり書籍が良いお客様もいるのではないか。
阿部さんより、書籍しか信用しない人もまだたくさんいる。
森野さんのお客様はマニアックな方が多く、本を見て来る、という方は少ないと思う。
やっている仕事によりますね。
・費用
権はコストと成果の間で決めるが、実際はお客様のご予算がコストギリギリのことが多く、下限に近いところで料金設定をしている。
森野さんから、おおざっぱに10万円、30万円などで受注して、やってみて足りなくても仕方なくやっている。
やってみないとわからないものが多く、見積もりの工数が負担になるので。お金に無頓着。
住さんから、全国を回りながら仕事をするのが好き。東京の仕事が多すぎるので、東京からの仕事はやや高めに受けている。
阿部さんから、リスティングは広告費の20%という業界基準があるのでやりやすいが、コンサル料はいまだに悩む。
・求人/雇用
権より、コンサルタントとしての雇用は難しい。
これから雇用したいという方は、権、阿部、北村。
森野さんより、弟子という意欲の高い方ならいい。押忍、みたいな。
権より、経営者に対してコンサルしようと思うと、経営者コンサルタントでないと難しいですね。
阿部さんより、90%のそれ以外の方に貢献できるようなコンサルを目指している。
北村さんより、コンサルティングまで行かなくても、通販のプレイヤーを支援できる人がもっと必要。
その育成期間として、自社のネットショップを手伝ってもらっている。
・業界の5年後
権より、ウェブの専門手法だけにこだわっていると5年後は貢献出来ないと思う。
森野さんより、解析だけではダメ。解析の手法よりも、ビジネスとして、お客様、ユーザーを理解して動かすことを知らないといけない。
阿部さんより、先日もブログに書いたが、リスティングだけだとだめになる。ただし、検索という行動そのものは余程のことが無い限り無くならない。
ただのリスティングプレイヤーでは無く、テクノロジーを理解した上で突出したノウハウが必要。
住さんより、自分自身、狭義のSEOサービスはすでにやっていない。ただし、広い意味で、検索からのユーザーへの取り組みは残る。
SEO業者はほとんど死にかかっている。どのタイミングで会社をたたむかを検討している様子。
・企業のウェブ活用をリードするのは誰か?
住さんより、ウェブマスターだと思うが、自分がイメージするウェブマスターは、経営者兼ウェブマスター。
中小企業において、さらにネットショップなど、ウェブを重視する企業にとってはウェブマスターは経営者の仕事。
・ウェブコンサルタントを目指す方は今何をすべきか
北村さんから、まずはリアルでモノを売る経験。接客経験。
そして、自身のユーザーとしての経験。モノを買うときに、どんな気持ちで買っているか。
阿部さんより、ネットやリスティングにこだわらないこと。
ネットマーケティングになじまない分野もある。
権より、コンサルタントになろうと思ってなった方は少ない。
必要なことを追求していった結果、コンサルタントになっている。
準備が出来てからでは無く、まずは気持ちから。
その点では北村さんのおっしゃる通り、名刺に肩書を入れること。
森野さんより、やりたいことをやればいろいろ学べる。
ゴルゴ13からプロふぇっしょなリズムを学び、プロレスからアピール方法を学んだ。
興味をもったことを一生懸命やった結果がすべてつながってくる。
・最後に一言
北村さんから、好きじゃなきゃやれない。楽しくやりましょう。そして寝ないこと(笑)。
住さんから、好きになることは賛成。でも寝たほうがいい(笑)。頑張る時期は必要だけど、休むことも大事。
阿部さんから、個人でも組織でも良い。まずはだれか自分の目指すコンサルタントをベンチマークして、目指すこと。
森野さんから、自分がやってきたことを受け入れて、その流れに乗って好きなことをやっていくこと。特にコンサルタントというイメージで枠を作る必要もない。
■終了の挨拶
「これからはウェブはあたり前のもの。
なにも特別ではない。
今のままでは、お客様はウェブサイトを作っても成果が出ず、ウェブプロフェッショナルは頑張った分の費用もいただけない。
両者の利害を一致させるには、お客様とウェブプロフェッショナルが利益を取り合うのではなく、ビジネスの視点で成果を出し、利益をシェアするしかない。
そのために、今回ご参加いただいた皆様と一緒に、ウェブ業界を次の段階に引き上げたい。
これからこのイベントも100回を目標に、継続してゆきます。
志ある本日の参加者の皆様に今後ご登壇いただけることを願っています。
引き続き、ご協力をお願いいたします。」
■最後に
皆様の講演の内容もさることながら、いまこの場に立つまでの生き方、努力、そのものが評価されたのだと思います。
プレゼンテーションの肝は資料でもパフォーマンスでも無く、講演者のプレゼンスそのもの。今回ほどそれを感じたセミナーはありませんでした。
皆さんのこれまでの努力にお礼を申し上げる共に、この人選をした自分自身をほめたいです。(笑)
私自分が信頼できる方に声をかけて良かったです。
本当にありがとうございました。
2月8日 東京会場の開催レポートはこちら