経営と価値観
経営の本質は哲学だ。
自分の価値観にのっとって、自分の力で社会を変えていこう、という試みだ。
人によっては、お金を儲けることが自分の現実を変える一番の手段だと思っているし、
また別の人は権力を手に入れることで現実を変えられると思っている。
私はというと、お金を手に入れても、権力を手に入れても、誰かの力を借りないと出来ることは限られていると思っている。
それでも、目の前の現実に対して、じっとしていられないことが多い。
だからこそ、自分一人ではなく、たくさんの仲間と一緒にやるしかないと思う。
社会を変える力とは、巻き込む力だ。
仲間とは、信頼関係でつながる人のことだ。
仲間は社会を作り替える手段であると同時に、幸せにしてあげたい、と思う人であり、その仲間たちを幸せにすること自体が経営の目的でもある。
その仲間たちを全員幸せにしてあげたいと思うと、自分とその仲間たちの力だけでは足りず、またその過程で誰かの力を借りることになる。
そして、その新しい仲間を幸せにするために、また新しい仲間が必要となり、気が付くとたくさんの仲間と社会全体を変えていくチャレンジをすることになるのだ。
しかし、誰もが同じ価値観ではなく、誰もが社会の変革に対して、使命感、責任感、自己犠牲の精神をもって働くわけではない。
責任感の無い仲間を幸せにしようと思うと、責任感のある仲間がより多くの責任を負うことになる。
だからこそ、慎重に仲間を選ばなくてはならない。
これは採用やパートナー探しについては当たり前のことだが、お客様を選ぶことも同じだ。
社会に貢献しようとする人たちは社会全体の富を増やすことで、社会全体が幸せになることを目的としている。
しかし、世の中には、自分の財布にお金が入るのであれば、社会全体の富が減っても良いと思っている人もたくさんいる。
これは価値観の問題だから善悪というのは適確ではないだろうが、私の価値観からすれば悪だ。
だからこそ、私は社会貢献したいと思っている人を支援することで、社会を良くしてゆきたいと思うのだ。
4つの市場
新規事業を興すとき、その市場の選択方法を2つの軸で整理したい。
一つ目の軸は、儲かるかどうか。
儲かるとは、自社の財布が潤いやすいか、という意味だ。
二つ目の軸は、社会的ニーズがあるかどうかだ。
つまり、それを解決することが、社会をよりよくするか、ということだ。
その2軸で考えると、市場は4つに分類される。
Aはニーズがあり、儲かる市場だ。
これは競争環境、いわゆるレッドオーシャンだ。
ニーズがあって市場は大きいが、競合も多く、本質的な差別化は難しい市場だ。
大企業のメインビジネスは一定以上の市場規模を必要とするため、この競争環境にならざるを得ない。ドラッカーも企業が倒産する最大の理由は規模を大きくしすぎること、と言っているが、これが大企業の難しさだ。
Bはニーズが無く、儲かる市場。
これは端的にいえば優良誤認による詐欺だ。
本来は誰も求めていない価値(と呼んでよいものか)を提供し、対価を受け取るビジネスだ。
自戒を込めて言うなら、悪質なコンサルタントはこれだ。成果を求めるクライアントに、成果が出るかわからない施策を過剰にアピールして販売するようなことだ。
Cはニーズが無くて儲からない市場。
これは趣味とか、アートとか、自分のためにやる仕事だ。
儲からなくても、自分が楽しいからやる仕事。
これをやっている人は意外と多いだろう。
Dはニーズがあるが、儲からない市場。
これは社会貢献事業だ。
求めている人は多いが、儲からないので、誰もやりたがらない仕事。
でも、実はこれがねらい目だ。
これらの市場は競合が少なく、誰もチャレンジしていないからこそ、とても難しいことのように思えるが、実はやってみるとそれほど難しくないこともある。
それに、社会的なニーズがあり、他の競合がいないので、たくさんの人が応援してくれる。結果的にお客様には事欠かず、経験と成長を繰り返すことができる。
私たちのお客様と私たちの事業
私たちの顧客は、まさにこのDタイプの事業を営んでいる方だ。
社会にとって良いこと、価値あることをしている、もしくは出来る可能性があるが、あまり儲かっていない(失礼)。
それを支援し、より社会に役立つ事業として再構築すること、その結果として、儲かる事業に作り替えていくこと、それが私たちの仕事だ。
そのためには、中小企業の武器であるウェブを活用し、若い人たちを呼び込み、成長を促す。
そして、私たちの事業は、お客様の事業を通して社会に貢献する。
私たちも15年目に入り、多くの経験によって、たくさんのノウハウを積み重ねてきた。
もっと多くの仲間とこれを共有し、多くの仲間の事業を通して、社会を変革してゆきたい。