コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析 読みました。

google analyticsを見ないgoogle analytics講座

今期のism基礎コースの最終回のテーマは「google analyticsの活用」。

解析に強い会員さんが多いこともあり、分析の本質である概念モデルの話を中心にお話ししました。
分析する前に、分析対象がどのようなものかをイメージします。
適切にイメージするからこそ、成否を問うためには、どんなディメンジョン(切り口)でデータを抽出するべきかがわかります。
簡単にいえば成功パターンの仮説です。

サイトとは何か、ユーザーはどんなシーンでどんな興味を持っているか、差別的優位点は何か。
そこからサイトユーザーのシナリオを想起し、成果につながるためのコンテンツ、ページを想像します。
想定通りにユーザーがサイトを利用した場合、どんな形でその成果が表れるか。
たとえば、CVRを向上させるページのPVが増えるだろう、とか、商品ページよりもコンテンツページのPVがどのくらいあるべきか、などを考えます。

その上で、最後にgoogle analyticsを開き、データを見ます。
予想と何が違ったのか、その違いから仮説はどのように修正されるのか。

仮説が先か、データが先か

私はウェブサイトを分析するうえで、データを先に見るのではなく、先にユーザーとしてサイトを利用し、サイトユーザーの成功シナリオを明確にすることに時間をかけます。
先に概念モデルが無いと、どのデータを見るべきかが明らかにならず、時間がかかるのです。
モバイルユーザーのCVRが低いとき、それは良いのか悪いのか。
先にユーザーの目線で、サイト利用の目的、その時のゴール、利用のシナリオを明らかにしていないと、評価が難しいでしょう。

仮説>分析>改善

ということです。

しかし、ビッグデータが話題の昨今では、

分析>仮説>改善

という流れを推奨する方もいます。
人工知能のレベルの話としては例外的にありかもしれませんが、普通はデータから出発してもうまく行かないでしょう。
データは何も語りません。
そこに意味を見出すのはそれを見る人間なのです。

コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析

ちょうどそのセミナーツアー中に、アスキーさんより清水誠さんの新刊を寄贈いただきました。

コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析

http://www.amazon.co.jp/dp/4048661426

もともと清水さんの考え方には賛同するところが多いのですが、今回の本も私の考え方と大分近いと思いました。

ストーリーの2/3くらいはコンセプトダイアグラムを使ってユーザーのシナリオを洗い出し、
各段階で必要なメッセージを抽出していく作業について書かれています。

オムニチャネル化によってシナリオが分散、複雑化するなかで、カスタマージャーニーが注目されていますが、
コンセプトダイアグラムはチャネルの役割分担に注目するのではなく、伝えるべきメッセージに注目した図解です。
私たちがユーザーシナリオ分析としてやっていることと近いものです。
清水さんからもコンセプトダイアグラムを使って表現してみては、とアドバイスをいただいたこともあります。

本当にビジネスにつながる解析とは、どうやって考えていくものなのか、その感覚をつかむための書籍として強くお勧めできます。

ただ、やはりこれは上級者向けでしょうね。
丁寧に書かれていますが、経験が少ない方が読んでも一つのやり方にしか見えないでしょう。
本質はコンセプトダイアグラムを使うかどうかではなく、考え方の流れとして、ウェブサイトで成果を出すための戦略をユーザーシナリオの視点で明らかにすることからスタートすべし、ということです。
同業者として、やるな~、と思う一冊でした。
解析上級者にお勧めします。