ウェブ業界と女性の活躍 -ウェブコンサルタントサミット002-

ウェブコンサルタントサミット 002 | ウェブ業界と女性の活躍

齊藤 理子氏 インタビュー

ディレクターやライターとして活躍する齊藤理子氏。
フリーランスやへ転身したきっかけや、ご自身の環境について
お話いただきました。

カウベルコーポレーション/齊藤 理子氏(さいとう りこ) のご紹介

フリーランスのライターと編集ディレクター。
美術系大学を卒業後、地元広告代理店兼編集出版社に就職して、27歳で結婚、28歳でフリーランスに。福井県福井市在住。2児の母。

なぜ、フリーランスを選んだのでしょうか?

話をしている理子さん

フリーランスを選んだのは、雇用主一社に縛られず、いろんな仕事ができると思ったからです。

会社員のときは、営業や上司などの意見に惑わされてクライアントの気持ちが見えないことがありました。「自分が関わっている仕事が確実にクライアントやそのお客様のためになっているのか」、あやふやなことが腑に落ちませんでした。効果があったのか、なかったのか、それも分からない。必要としている人に役に立つ情報を魅力的に伝えたい。それが会社の中ではできなくなってきました。フリーランスならもっと手応えを感じられるのではないか。最初から責任を持って携わりたいと思っていました。

その一方で、結婚後は出産を考えます。しかし編集部というのはイメージ通り締め切りに追われ、深夜まで仕事をするところ。出産後「仕事量をそのままに、子どもも育てるという生活」は想像がつきませんでした。「子どもを育てたい、仕事も続けたい、フリーならまだ融通がきくかも」と考えもありました。
30歳になったとき、ひとりで食べていけるだけの稼ぎがなければ会社員に戻ろうと思っていました。続けるか否かのために区切りはあったほうがいいと思います。

理子さんの仕事について、教えてください。

カウベル・コーポレーションは、代表の森川徹志と、齊藤理子の二人で立ち上げた会社です。ずっと個人事業主でしたが、昨年法人化しました。
森川も私と同様、取材、原稿制作、紙&ウェブ制作全般を行っています。彼のほうがウェブ業界にもシステムにも詳しいので、私の案件を相談することもありますが、基本的には二人とも別々の案件をしています。

仕事は主に二つ。
ひとつめは企業や店舗に取材をして、パンフレットやウェブ掲載用の原稿を制作するライター業。クライアントは制作会社や代理店、原稿制作に悩む一般企業や店舗さんです。特定の制作会社や出版社と契約をしていない点でフリーランスだと思っています。

職場

制作事例

これまでに手がけたディレクションの事例

もうひとつは編集ディレクター業。
クライアントの希望をきき、最適なツールで情報を表現するのが仕事です。

案件ごとにチームを組んで制作をする立場です。「ホームページを作りたい」「パンフレットを作りたい」という依頼には、企画、構成、デザイン表現、原稿と写真、リリースなど一連の作業を担当します。
案件に合わせてデザイナー、ライター、カメラマンなどコンテンツづくりのスタッフをコーディネイトします。たいていがフリーランスメンバーです。単発のディレクションで、案件が終われば解散という意味でフリーランスです。
ここ数年は、ディレクションの延長から続けて広報戦略を考える依頼も増えました。

私は「ウェブ制作の人間ではない」と思っています。
なぜならウェブの仕事だけをしていないからです。
メディアの仕事をしている意識でいます。
仕事は同じだけど、業界が違うというだけです。

フリーランスになったときに気をつけたことはありますか?

この仕事が腰掛けやお小遣い稼ぎではないと思われること。夫のいる子持ち女性でフリーランスだと、ライターでもデザイナーでも「腰かけ?」「お小遣い稼ぎ?」という目で見られることは否めません。
当初はプライベートの色は出さないようにしました。結婚して子どもがいることを語らず、結婚後も名字を変えずに仕事をしています。どこに住んでいるのかも聞かれるまで明かさないようにもしました。
現実問題として、既婚の子持ち女性(特に幼児を抱える)が仕事をすることに対する男性社会の目線はまだまだ温かくありません。
地縁や血縁でいただく仕事だけはなく、そこを払拭してでも齊藤理子に頼みたい、と思われるようにしたかったからです。
主婦目線は重要です。しかし人前で主婦であってはいけないと考えています。

結婚も出産も告げずに仕事を続けるのは、大変だったのでは?

想像以上に大変でしたよ(笑)。今も大変ですが、何事も周囲のおかげと環境のおかげです。
特に義母の私の仕事に対する理解と、夫の協力があったからです。
子どもが病気になったとき、身内、友人ママと、友人ママのお母さんまでお願いできる関係作りができていること。快く受けてくれるのは夫婦共働きが普通の福井県だからでしょう。皆経験してきたことだからと受け入れてくれます。フリーランスだからというわけではなく、私の周囲では普通のことです。

福井県は病児保育、子育てマイスターなど制度があります。保育園の入園もスムーズでした。地域行政や支援制度が女性の働き方に大きく影響します。

というものの、家族からは負担だったと聞かされ反省しました。そして、多忙なしわ寄せは必ず子どもに及びます。子どもに我慢させることは多いです。

また、これから在宅という働き方を望む女性へお伝えしたいことは、自分にどこまで投資ができるか、です。勉強会へ参加する、セミナーをうけて技術を磨く、制作環境を整えるためPC機器を揃えるなど、すべて時間とお金が関係してきます。

フリーであろうが会社員であろうが、仕事への意欲はあっても頼れる人がいない、子どもを預ける先がない、預けるお金がない、という状況なら働くということをおすすめしません。
逆に言えば、そこが働くママの悩みなので、そこを理解し、サポートしてくれる会社さえあれば、出産後も早い時期から復帰して働けると思います。

ウェブ業界で、女性はどんなふうに活躍できますか?

ウェブ業界と言っても、バナーが作れるとか、Photoshopを扱えるとか、PPCに詳しいとか、アナリティクスできるとか、そういった制作のプロだけが支えているわけではないのです。
通常、会社でしていた仕事が、出社しなくてもインターネットやシステムを使ってどこでもできるようになった、それだけです。
しかも毎日でなくてもいい、短時間でいい、という企業はあります。人件費をおさえたい企業と、時短勤務を望む女性のマッチングはここにあると思います。知人はECサイトの更新作業を3社から請け負い、曜日ごとに勤めています。

またウェブ制作を支援するツールは数多くあります。語学ができれば地方でも世界とも仕事ができる。ウェブ業界は特別な技術を持っていなくてもできる世界です。

 

理子さんとカエル社長/ウェブ

スタッフが一時的に休んだり、子連れ出勤時に子どもを遊ばせる小上がりスペースを完備

 

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